誤って削除した直後にすること
クラウドストレージで削除したファイルは、すぐに完全消去されるとは限りません。多くのサービスでは、いったんごみ箱に移され、一定期間だけ保管されたあとで完全に削除されます。この期間はサービスやプラン、個人用か仕事用かによって異なるため、まず大切なのは早めに動くことです。
探している間は、ごみ箱を空にしないでください。同期の不具合やパソコンのマルウェアが原因でファイルが消えた場合は、各端末の同期を一時停止しましょう。そうすれば、被害がクラウド上のコピーや、アカウントにひも付いたほかの端末へ広がるのを防げます。
次に、そのファイルがどこにあったのかを整理します。自分のフォルダー、他人の共有フォルダー、仕事用アカウント、パソコンの同期フォルダーで削除したファイルでは、それぞれ行き着く先が違い、誰が復元できるかも変わります。
Google Drive:ゴミ箱とバージョン履歴
Google Driveでは、削除したファイルは左側のメニューから開ける「ゴミ箱」に移ります。一覧が長い場合は検索やフィルタを使ってファイルを探し、「復元」を選ぶと元のフォルダーに戻ります。元のフォルダーがすでにない場合は、ドライブの最上位に戻ります。ゴミ箱の中身は一定期間が過ぎると自動的に削除されますが、それより前に手動で削除することもできます。
ファイルそのものは残っていても、中身が削除されたり上書きされたりした場合は、バージョン履歴を使います。Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドは「ファイル」メニューに詳細な履歴があり、以前のバージョンをプレビューして復元できます。それ以外のアップロードしたファイルは、保持するよう設定しない限り、以前のバージョンが保存される期間は限られています。
共有ファイルは所有者が基準になります。他の人が所有するファイルをその人が削除すると、ファイルはあなたのゴミ箱ではなく所有者のゴミ箱に入るため、復元できるのは所有者です。共有ドライブでは、十分な権限を持つメンバーがそのドライブのゴミ箱から復元できます。また、仕事用や学校用のアカウントでは、ゴミ箱から削除されて間もないファイルを管理者が復旧できる場合もあります。
Microsoft OneDrive:ごみ箱と全体の復元
OneDriveでは、削除した項目はウェブで開けるごみ箱に保管されます。ファイルやフォルダーを選んで「復元」を選ぶと、元の場所に戻ります。パソコンの同期フォルダーで削除したファイルも同じごみ箱に入り、パソコン自体のごみ箱にもコピーが残ることがあります。個人アカウントでは削除した項目が一定期間保管されますが、ごみ箱がいっぱいの場合は、それより早く消去されることがあります。
ファイルの中身を変更してしまった場合は、ファイルのメニューからバージョン履歴を開き、以前のコピーを復元します。Microsoft 365の契約者は、OneDrive全体を以前の時点に戻す機能も使えます。大量削除や同期の不具合のあと、あるいは一度に多数のファイルを暗号化するランサムウェアに感染したあとに、いちばん頼りになる手段です。
仕事用・学校用のOneDriveには、第2段階のごみ箱があります。最初のごみ箱を空にした項目もしばらくはそこに残り、消えてしまったように見えるファイルの復旧を、組織の管理者が手伝えることも少なくありません。
Dropbox:削除したファイル、バージョン、巻き戻し
Dropboxのウェブサイトで「削除したファイル」の表示を開き、必要に応じて日付やフォルダーで絞り込み、戻したいファイルを選んで復元します。削除したファイルをどのくらいの期間復元できるかはプランによって異なるため、頼りにする前に確認しておきましょう。
Dropboxはファイルごとにバージョン履歴も保持しており、ウェブサイトのファイルのメニューから利用できます。プランによっては、フォルダーやアカウント全体を指定した時点の状態に戻す「巻き戻し」機能もあり、多数のファイルがまとめて変更・削除されたときに役立ちます。
共有フォルダーでは、特に注意が必要です。共有フォルダー内のファイルを削除すると、すべてのメンバーの画面から消えます。編集権限を持つメンバーは、通常、削除したファイルの表示から復元できます。共有フォルダーから退出することは、その中のファイルを削除することとは別の操作です。復元を始める前に、どちらが起きたのかを確認してください。
MEGA:ごみ箱と復旧キー
MEGAでは、削除した項目は「ごみ箱」に移り、元の場所への復元や別の場所への移動ができます。ごみ箱は、アカウントの種類に応じた期間が過ぎると自動的に空になり、手動で空にすることもできます。
ファイルのバージョン管理が有効な場合、同じフォルダーに同名のファイルをアップロードすると以前のバージョンが保持され、その中から復元できます。デスクトップの同期アプリを使っているときは、ごみ箱と、同期場所の中にあるローカルの退避フォルダーの両方を確認してください。同期された項目を削除すると、どちらかに移されることがあるためです。
MEGAはファイルをエンドツーエンドで暗号化するため、運営会社があなたに代わって内容を読み取ったり復号したりすることはできません。パスワードと復旧キーの両方を失うと、誰にもファイルを復元できなくなります。復旧キーはアカウント設定から書き出し、端末とは別の安全な場所に保管しておきましょう。
完全に削除されたように見えるとき
ごみ箱を空にしたあとや保管期間が過ぎたあとは選択肢が狭まりますが、諦める前にほかのコピーを探しましょう。パソコンのごみ箱、メールの添付ファイル、スマートフォンの写真ライブラリ、外付けドライブ、別の場所に取っているバックアップを確認します。
ほかの端末にコピーが残っていることもあります。削除したあとずっと電源を切っていたノートパソコンや、オフラインのままだったノートパソコンには、ファイルがローカルに残っている可能性があります。開く前にインターネットから切断し、同期アプリが起動時にファイルを削除しないようにしたうえで、必要なものを別の場所にコピーしてください。
最近削除した項目については、特に法人向けプランで提供元が力を貸してくれることもありますが、期待しすぎないでください。第三者の復元ツールや、パスワードを求めてくる相手には十分に注意しましょう。そうしたツールや相手が提供元のサーバーに特別にアクセスできるわけではなく、ログイン情報を渡すと新たな危険が生じます。
次回ファイルを失わないために
同期はバックアップではない、ということを覚えておきましょう。ファイルが1台の端末で削除されたり壊れたりすると、同期はその変更をそのままあらゆる場所へ反映します。よく知られた目安が「3-2-1ルール」です。大切なデータは3つのコピーを、2種類の異なる媒体に保存し、うち1つは別の場所に置きます。たとえば、クラウドサービスと外付けドライブを組み合わせる方法があります。
利用しているサービスが削除済みのファイルやバージョンをどれくらいの期間保持するのかを把握し、ごみ箱を空にする前に中身を確認し、共有にも気を配りましょう。共有フォルダーの編集権限を持つ人は誰でも中身を削除できるため、編集権限は必要な人だけに付与し、ときどきメンバーを見直してください。
最後に、アカウント自体を守ります。侵入者がクラウドストレージに入り込むと、ファイルを削除し、ごみ箱まで空にできてしまいます。強力で使い回しのないパスワードを使い、二要素認証を有効にし、復旧用の連絡先(MEGAの場合は復旧キー)を最新に保ちましょう。rStockはGoogle、Microsoft、Dropbox、MEGAとは提携しておらず、どのアカウントを使う場合も、提供元の利用規約に従ってください。